
スクレイピングとクローリングの違いとは?仕組みや使い分けも紹介
Web上の情報を効率的に取得・活用する手法として注目されているのが「クローリング」と「スクレイピング」です。どちらもWebサイトから情報を得る技術ですが、目的や仕組み、使われる場面には明確な違いがあります。
この記事では、それぞれの特徴や使い分けのポイント、実際の使用例、導入時に知っておきたい注意点について、初めての方にもわかりやすく解説していきます。
スクレイピングとクローリングとは
Webサイトから情報を収集する技術として「スクレイピング」と「クローリング」があります。これらは似ているようで異なる目的や役割を持っており、自社でデータ活用を検討する際には正しく理解しておくことが重要です。
まずは、それぞれの仕組みや特徴について詳しく解説します。
スクレイピングとは
スクレイピングとは、Webサイト上に掲載されている情報を自動で抽出・取得する技術です。例えば、商品名や価格、口コミなどの特定の情報をHTML構造から解析して取り出すといった用途で使われます。スクレイピングは、あらかじめ設定されたルールに基づいて、必要なデータだけをピンポイントで収集できるのが特徴です。
業務効率化やマーケティング分析、競合調査などに活用される一方で、Webサイトの利用規約や著作権、サーバー負荷などの観点から、使用には十分な配慮が必要となっています。
クローリングとは
クローリングは、Webサイトを巡回してリンクをたどりながら、Webページの情報を収集する技術です。検索エンジンのロボット(クローラー)がこの仕組みを利用してインターネット上のページを把握し、インデックス化する際に用いられます。
クローラーは一つのURLからスタートし、ページ内に含まれるリンクを次々にたどって、情報を幅広く取得します。収集の目的はデータ取得というよりも、Web全体の構造把握や情報網羅にあります。スクレイピングと異なり、特定のデータ抽出ではなく、Webページそのものの収集に向いているでしょう。
クローラーの開発・運用については以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
『定期収集に最適!Webクローラーの開発から運用までの全手順』
クローリングとスクレイピングの違い
クローリングとスクレイピングはどちらもWeb上の情報を取得する技術ですが、その目的やプロセス、得られる結果に明確な違いがあります。ここでは、3つの観点からその違いを整理してご紹介します。
- 目的の違い
- プロセスの違い
- 結果の違い
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
目的の違い
クローリングの主な目的は、Web上に存在する膨大な情報を広く収集し、リンク構造を把握することです。検索エンジンがWebページをインデックスするために使われることが多く、情報の網羅性を重視します。
一方、スクレイピングは特定のデータの抽出・活用が目的です。商品情報や天気データ、ニュース記事の見出しなど、特定の要素に狙いを定めて必要なデータだけを取得します。
プロセスの違い
クローリングは、あるWebページから他のリンク先へと順に巡回しながら、サイト全体や複数サイトにまたがる情報を収集します。リンクをたどることで、サイト構造の全体像を把握する動きをします。
これに対してスクレイピングは、対象ページのHTML構造を解析し、特定のタグやクラスに含まれる情報だけを抜き出すのが特徴です。巡回は行わず、あくまで決められたページ内で必要な情報だけをピックアップします。
結果の違い
クローリングによって得られるのは、ページのURLや内部リンクなど、サイト構造やページの存在そのものに関する情報です。これにより、どのページがどこに存在し、どのようにつながっているのかを理解できます。
一方でスクレイピングでは、取得したデータをCSVやデータベース形式などに整形して活用することが一般的です。例えば、ECサイトから価格データを取得して表形式にまとめるなど、データ活用を前提とした成果物が得られます。
クローリングとスクレイピングの使用例の違い
クローリングとスクレイピングは目的や仕組みが異なるため、使用されるシーンも変わってきます。以下に、それぞれの主な使用例を一覧でまとめました。
種類 | 主な目的 | 使用例 |
クローリング | Webページの巡回・構造の把握 | SEO対策、ニュース収集、サイト全体の構造解析 |
スクレイピング | 必要な情報をピンポイントで抽出 | 価格比較、レビュー収集、データ分析 |
このように、目的と活用方法によって、どちらの技術を使うべきかが変わってきます。次項では、それぞれの具体的な使用例を詳しく見ていきましょう。
クローリングの使用例

クローリングは、Webサイトを自動で巡回しながら情報を収集する技術です。その特性から、広範な情報を網羅的に集めたい場面で活用されています。ここでは、ビジネスシーンでよく使われる3つの具体例をご紹介します。
- SEO対策
- 市場調査
- ニュース収集
それぞれの例を詳しく見ていきましょう。
SEO対策
SEO対策において、クローリングは非常に重要な役割を果たします。検索エンジンは、クローラーを使ってWebサイトを巡回し、ページの内容や構造を分析します。
自社でもクローリングを活用することで、サイト内のインデックス状況やリンク構造、タイトルやメタ情報の最適化状態などを確認できるようになるでしょう。これにより、検索順位に影響を与える要因を把握し、改善に向けた具体的な施策を打ち出すことが可能になります。
市場調査
クローラーを使えば、複数の競合サイトや業界関連サイトから広範な情報を一括で取得でき、市場全体の動向をつかむことができます。例えば、商品カテゴリごとの取り扱い数や価格帯の分布、キャンペーン情報などを継続的に収集することで、競合分析や価格戦略の見直しに活かすことが可能です。人手では難しい大規模なデータ収集も、クローリングを導入すれば効率的に行えます。
ニュース収集
日々更新されるニュースサイトやブログを自動で巡回し、新着情報を定期的に収集する用途にもクローリングは適しています。収集した記事情報をカテゴリ別に整理したり、特定のキーワードに関連する記事を抽出して社内共有したりすることで、情報感度を高めるツールとして機能します。
情報ポータルや自社ニュース配信サービスなどに組み込むことで、リアルタイムな情報提供が実現できるでしょう。
スクレイピングの使用例

スクレイピングは、Webページ上の特定の情報を自動で抽出し、データとして活用するための技術です。必要な情報をピンポイントで取得できるため、業務効率化やデータ分析の現場で広く利用されています。以下に、代表的な活用例を紹介します。
- 価格比較サイト
- 研究データ収集
- 不動産情報収集
それぞれの例を詳しく見ていきましょう。
価格比較サイト
価格比較サイトでは、複数のECサイトから商品名、価格、在庫状況、レビュー評価などをスクレイピングによって自動で取得しています。手作業では時間のかかる情報更新を自動化することで、ユーザーに対して常に最新の価格情報を提供できるのが大きな利点です。
また、価格変動のトレンドを記録し、マーケティング施策や価格戦略の見直しに役立てる企業も増えています。スクレイピングは、リアルタイム性と精度が求められるこの分野において、不可欠な技術といえるでしょう。
研究データ収集
学術論文や政府機関・公共データの収集にもスクレイピングは活用されています。例えば、特定のキーワードに関する最新論文や統計情報を定期的に自動取得することで、研究の土台となる情報収集作業の手間を大幅に軽減できます。加えて、複数のサイトから取得したデータを整形・分類し、分析しやすい形に加工することで、効率的な資料作成や調査レポートの作成が可能になります。
特に社会調査や経済研究の分野では、スクレイピングが研究スピードを支える技術となっています。
不動産情報収集
不動産業界でも、スクレイピングは物件情報の収集や相場分析の手段として活用されています。物件名、所在地、価格、間取り、築年数、写真など、ユーザーの購買意欲に影響する情報を自動で収集し、データベース化することで、物件比較サイトや資産運用ツールなどに応用できます。
また、エリアごとの価格推移や物件数の変動をモニタリングすることで、需給バランスの可視化や投資判断の材料にもなります。こうした情報をリアルタイムで集められる点も、スクレイピングの大きな強みです。
クローラーの導入はシルク・ラボラトリにお任せください

Web上の膨大な情報を効率よく収集・活用するためには、高性能かつ柔軟なクローラーの導入が欠かせません。シルク・ラボラトリは、クローリング技術に関する豊富な知見と独自の開発体制を持ち、企業のニーズに応じた最適なソリューションを提供しています。
クローリングを自社に導入したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。
シルク・ラボラトリが開発した「シルククローラー」とは
「シルククローラー」は、シルク・ラボラトリが独自に開発した内製のクローラーです。用途や収集対象に応じたカスタムバージョンが存在し、多様なニーズに対応可能です。
今後は、ターゲット市場のニーズに応じた機能強化を進めるとともに、ライセンス契約による本格的な展開も視野に入れています。スクレイピングやクローリングの導入・活用を検討している企業にとって、非常に信頼性の高い選択肢といえるでしょう。
まとめ
クローリングとスクレイピングは、どちらもWeb上の情報を取得するための技術ですが、目的・仕組み・得られる結果に明確な違いがあります。クローリングはWebサイト全体を巡回して情報の構造を把握することに長けており、SEOやニュース収集、市場分析に活用されます。一方でスクレイピングは、特定のデータをピンポイントで抽出・整形する技術で、価格比較サイトや研究・不動産分野などで多用されています。
自社でこうした技術の導入を検討している場合には、目的に応じて適切な手法を選ぶことが重要です。もし、クローリングの導入や運用に不安がある場合は、シルク・ラボラトリのような専門企業に依頼することで、効率的かつ安全に取り組むことができます。
シルク・ラボラトリが開発した「シルククローラー」は、要件に応じたカスタマイズが可能であり、信頼性と柔軟性を兼ね備えた高性能クローラーです。クローリング導入のパートナーとして、ぜひ一度ご相談ください。